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うつ病診断の実情

医者

うつ病の疑いから確定診断に至るまで

うつ病に罹患した患者さんは様々な身体的不調を訴えます。割れるような頭痛から神経内科を受診したり脳神経外科を受診する事もあります。原因不明の吐き気、下痢、胃痛が酷く内科を受診する患者さんもいます。精神的に不安定になりやすく月経障害、更年期障害を疑って婦人科を受診する人もいます。肩こり、首、腰、背中に激痛を覚えて整形外科を受診する場合もあるでしょう。しかしそれらの科で検査しても異常所見が見当たらず、どうも患者さんが元気がなくてぐったりとしているという場合、他科から精神科に紹介するのはよくある事です。精神科受診やうつ病の薬の服薬は抵抗がある人が多く、他科で別の診断名をつけてもらってそれで治療が済めば精神科患者にもならなくていいですし、軽い身体的不調と思えればそれに越した事はありません。しかし実際には他科から回って来る患者さんは不眠や食欲不振、自殺願望が続いていて放置しておくと生命身体の重大な危機をもたらす場合が多いのです。精神科では初診の患者さんに対し、待ち時間の間に簡単な筆記式の心理テストを行なってうつ度チェックをする場合が多いです。それから臨床心理士、看護師等に初診前に初回インテーク面接を行ない、それらの結果を踏まえて診断の参考にします。うつ病に似ている疾患もありその鑑別診断のために血液検査を行なう事もあります。甲状腺機能の異常はうつ病と似たような症状をもたらします。統合失調症というと幻覚妄想が出て来る活発な症状ばかりが出現すると思われがちですが、統合失調症の陰性症状は1人の世界の殻に閉じこもり誰とも喋らないのでうつ病に似ています。適応障害は社会、職業、家庭に適応できずにぐったりとするのでやはり似ています。PTSD特有の解離忘却、対人関係回避、恐怖の症状も素人目にはうつ病かと思われがちで、本人もそう思い込んでいる事は多いです。境界性人格障害はいつも死にたいと思っていて過量服薬をしてリストカット等自殺未遂行為を繰り返します。うつ病と似ていて別の病気の事もあれば、うつ病とこれらの病気が合併している事もあります。鑑別診断が難しい際には暫定的にうつ病の診断をして投薬治療を行い、薬の効き目を観察してから正式病名が確定する事もあります。